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#blognavi 都市伝説で三椏4が揃いましたw 今度は3枚中2枚、4になりました。 というわけで陰陽は断片集め終わりました。 ・・・陰陽符を買える財力が持続出来るか疑問です。 ちょっと業務連絡を。 wikiでblogを書くためにはコチラ をご覧ください|・ω・)ノ このblogはwikiモードの構文が使えるみたいです。 blogの記事内でリンクや画像を貼りたい場合は wikiページの構文 を使って出来ます。 カテゴリ [真人] - trackback- 2005年06月17日 18 02 06 おぢさんには、ちんぶんかんぷんだぉ。 -- カムイだぉ。 (2005-06-17 20 22 39) 名前 コメント #blognavi
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それは、夏休みが終わるより、少し前の出来事 図書館帰りの天倉姉妹 この日は、今年の夏にしては珍しく涼しい日で ちょっと、散歩がてら遠回りして帰る事にしていた 並んで歩く二人の影が、重なり合う しばし、そうやってゆっくりと歩いていたのだが… 「…あれ……紗奈ちゃん、何か聞こえない?」 「え?……そう言えば」 紗江に言われて、耳を済ませる紗奈 ……かすかに、聞こえる 銃声のような、音が 「…銃声?」 そう 銃声のような、じゃ、ない 明らかに、銃声だった ……何か、都市伝説絡みの事件だろうか そうでなければ、こんな平和な街中で、いきなり銃声など聞こえるものか …………この街においては、時折、そんな常識など通用しない事実はさておき 都市伝説絡みの事件が起きているならば…通りがかった自分達が、何とかしなければ そう感じた姉妹は、銃声が鳴り響く方向へとかけていく 「…!紗江ちゃん、上!」 「………っ!!」 彼女らの、頭上 …そこに、銃声の主がいた たくさんの たくさんの、天使 しかも、女の子、しかも、ミニスカ それらが、手に物騒な重火器を持ち、何かを攻撃していた 攻撃されている相手は………蛾、に、見えた 人間大の大きさで、人間っぽい胴体をしているが、それは、完膚なきまでに蛾だった …モスマン、と呼ばれるアメリカの都市伝説だ それは、ひらひらと天使達の集中射撃を避けていたのだが ……っち、と 銃弾が、その羽根に掠った瞬間 蝿叩きが掠った蝿の如く、へろへろと地面へと落下していっていた ………さすが虫、中途半端にか弱い ぼとん!!と そのモスマンは、双子の前方に落下して 「落ちましたー!!」 「そのまま止めー!」 「撃っちゃえ撃っちゃえ!!」 「デストローーーーイ!!!」 きゃいきゃいきゃぴきゃぴ 見た目通りにきゃぴきゃぴしているらしい女天使達が……無邪気に、そのモスマンに、止めを刺した モスマンは、全身に銃弾を撃ちこまれて……光の粒子となって、消えていく 「やっつけたー!」 「ご主人様に褒めてもらえる~!」 「やっつけたのは私ー!」 「違う、あたしだもーん!」 きゃいきゃいきゃい 騒ぐ天使達を前に、二人は思わず、呆然としてしまう …そんな、二人に あ、と、天使達が、気付いた 「目撃者?」 「見られちゃった?見られちゃった?」 「どうしよう、どうしよう?」 「消しちゃう?消しちゃう??」 「口封じ?」 物騒な事を口にし出した天使達 紗奈は、紗江を庇うように彼女の前に立ち 紗江は、紗奈を庇うように、犬神を彼女の前に立たせる 「駄目、駄目、ご主人様に怒られちゃう」 「そんなの駄目ぇ」 「どうしよう?どうしよう??」 「…どうしたんだ、お前ら」 「「「「「「ご主人様~~~!!!」」」」」 じゃり、と 姿を現した、青年 …天使達の、契約者のようだ ミニスカ美少女の天使達が、一斉に青年に近づいていく 「見られちゃった」 「目撃されちゃいました~」 「御免なさい、御免なさい」 「どうしましょう?どうしましょう?」 「ん?………一般人か?」 「いや、どうやら、都市伝説契約者のようだな」 …もう一人 女性…否、青年が姿を現した あれ…と、紗奈は、二人に見覚えがある事に気付く そうだ 学園祭の時、姿を見かけて、ナイス妄想をさせてもらった二人だ 女性のような外見の青年の背中で、リボンで結ばれた髪がぽんぽん、と揺れている その、女性のような外見の青年が、どこか芝居がかっているように見える仕種で、優雅に一礼した 「レディ達、驚かせて申し訳ない。何分、人を害する都市伝説だったものでね。説得できなかった為、可哀想だが消えていただいていたのだよ」 「「組織」が何か忙しい分、こっちで判断して動けるからな」 …「組織」、と 天使達の契約者らしい青年が、そう、口にした 「…あなた達も、「組織」の契約者、なんですか?」 「…は?」 「…むぅ?」 紗江に問いかけられて…二人の青年が、顔を見合わせる 「むぅ。天地、どうやら君の同僚のようだが」 「知るかよ。俺、誰かと組んでの任務なんてほぼないから、他の契約者なんて、相当有名な奴じゃねぇと知らないっての」 「…むぅ……それに、あちらのレディ達。中央高校の学園祭にて、若干見覚えがあるようなないような」 「…げー……あそこの生徒か?まさか」 若干、嫌そうな表情を浮かべる、天地、と呼ばれた天使の契約者 ふむ、と女性のような外見の青年は、眼鏡を軽く押し上げつつ、姉妹に問い掛ける 「ふむ、どうやら、君達も、こちらの天地と同じく「組織」契約者のご様子。これも何かの縁だ……お茶でも、いかがかな?」 …それは、女性に誘いをかける言葉のようで しかして、そこに、下心は感じられず ………まるで 姉妹の、担当している黒服に対する不信や、不安 それから滲み出る迷いを、見抜いているかのように そこに手を差し伸べるかのように、誘いをかけてきたのだった to be … ? 前ページ連載 - 黒服Hと呪われた歌の契約者
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※ある日の夕暮 の続き 空飛ぶ海賊船で現実逃避をしていたローゼは、突如部下からのお説教というラブコールをうけ、しぶしぶと山の裏に海賊船を下し、涙目で部下の元に走っていった。 その前に、雄介と薫はメールアドレスや電話番号を交換していたりするのだが。 そして、これはその後の出来事の、続きである。 「……何だったんだろうな。あの子供」 「そうですね」 薫は違和感を覚えたまま、帰路を歩いている。 だが、雄介は眉毛月のコアラのお菓子に関心が行っているらしい。 「なあ、このお菓子がどうかしたのか?」 「ええ、まあ」 それに、先程から雄介にも違和感がある気がするのだが、薫の気のせいだろうか? 「これは、某お菓子会社メーカーの、レアものです」 「ん、そうなのか?」 「ええ、普通は眉毛は描かれていないのですが……二つも出るなんて、あの子は相当のラッキーボーイのようです」 「ラッキーボーイね……」 その様な感じには見えなかったが、雄介がいうならそうなのだろう。 「それに、このコアラを食べると、幸運が訪れるとも言われています」 「……そう言われてみれば、都市伝説の気配を微かに感じるな」 「感じるんですか」 「感じるな」 「そうですか」 やはり、どこか冷たい気がする。一体どうしてしまったのだろうか? 「今のお前、どこかおかしいぞ?」 「どこがです?」 「何だか、感情が抜けたロボットみたいだ」 「先程の事で、少々考え事をしてまして……」 「さっきってあれか? あの目つきの悪い男の事か?」 「……ああ、そっちもありますが、これは自分の問題なので」 「…………」 と、言う事は、だ。雄介は恐らく、あの兄について考えているのだろう。 喧嘩とはいえ、都市伝説のぶつかり合いだ。どこか大けがをさせてしまったという罪悪感。 それに、あの兄はどこまでも追いかけ回すだろう。自分を、道具にするか、殺すまで……。 「ああ!! すいませんが先程の愛してるの『俺もだ』って、結局恋人確定って事なんですかー!?」 「そっちか!? お前さっきのシリアスクールカリスマ空気は何だったんだ!?」 「……すいません。脳の70%をそちらに使っていたものですから、大体しか覚えてないですはい」 「お前の脳はどうなってるんだ!?」 今思い出した。雄介というバカは、空気を読まずに自分と本条薫という女の為にしか動かないという事を、薫は思い出してしまった。 これはKYというレベルではない。絶対狙っている。 「それで、どうなんですか? あの~返事?」 あははははははは、と笑いながら頭を抱えている雄介。 対して薫は、はぁ……とため息をつきながら頭を抱えている。 だが気を取り直し、自分の顔より高いところにある雄介の顎を掴み、少し顔を赤くしながら、ちゃんと雄介の目を見る。 「……普通に恋人の愛してるって意味で受け取っておけ」 薫は雄介の顎を突き離し、つかつかと顔を赤くしながら先を歩く。 その言葉を聞いた雄介は、一気に顔を赤くし、サッと恥ずかしがって後ろを向いてしまう。 「おい!! さっさと帰るぞ!!」 「は、はい!」 雄介は薫の隣を歩き、互いに手をつないで、夕日を背に歩きだした。 「そういえば」 「ん?」 だが、そんな空気に耐えきれなかったのか、雄介はもう一つ気になっている事を話し始めた。 「あの時、先輩……龍一さんでしたっけ?」 「ああ、あれがどうした?」 「明日葉ちゃんが『この二人と知り合いか?』って聞いた時に、龍一先輩は『……顔見知りでは、ある』と答えました」 「だな」 「……あれって、自分の事も入っているんですかね? 顔見知りに。私がファントムだって気が付いていたんですかねぇ?」 学校でもあいさつ程度ですし、と補足した。 だが、それはないと思う。彼は都市伝説ではなく、自由に都市伝説になる事ができる身体能力の高い人間だ(屋根の上を普通に飛びまわっているので、高いと思う)。 普段の彼には都市伝説と感じるものは無く、ファントムと比較すると、声もたたずまいもまるで違う。 よって、ありえないと思うのだが……もしかしたら分かっているのかもしれない。 「でもまあ、いい人そうで安心しましたけどね」 「……警告しただけで親切ってのは、解釈が少し大きすぎないか?」 「いいじゃないですか。そういうふうに考えても」 相も変わらず、雄介はのんきだ。 「だが、あの幸太って子供は実はサバよんでるな。猫どころかチワワ被ってるだろ」 「引っかかるものはありましたけどね」 二人はそんな話題も、幸せそうに、笑顔を浮かべながら話していた。 まだ見ぬ未来へ、歩きながら。 「そういやマヤ文明がそろそろ世界が終るとか予言してなかったか?」 「この町なら本当になりそうだからやめて下さいっ!!」 世界が終らなければ、続く……
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【ある秋の話】 ゾクッ・・・ (裂邪 おいお前ら! 今のわかったか!? (シェイド 何ナノダ、コノ禍々シイ「エナジー」ハ・・・ (バク ・・・「夢の国」だバク。 (ウィル いよいよ動き出したみたいでい! (ミナワ 大変ですよご主人様! 「夢の国」といえば、ものすごく強い都市伝説の一つです! (ウィル 強ぇなんてモンじゃありやせん! ありゃ「地獄」そのものだぜい! (バク 『パレード』に巻き込まれたら最後、もうこの世には戻ってこられないバク! (シェイド ドウスル裂邪? 戦イニ出向クカ? (裂邪 慌てるな! (裂邪 他の契約者が既に動いている。 厄介事には巻き込まれたくない。 (四天王 他力本願!? こんなことが数回あったそうな。 【マッドガッサーの話】 (裂邪 なんか、男が女になったり、女が男になったりする事件が相次いでるってきいたんだが。 (ウィル そいつぁ「マッドガッサー」の仕業でい。 (ミナワ あ、私もそれ聞いた事あります。 会ったことはありませんけど。 (シェイド 何者カガソウイウ効果ノアル「ガス」ヲ撒キ散ラスラシイナ。 (裂邪 この町は本当に都市伝説だらけなんだな; (バク あと、女になるガスを女があびたら、ヤらしい気持ちになるそうだバク。 (裂邪 へぇ、ヤらしいねぇ・・・ (裂邪 ミナワ、ちょっと出かけよう。 (ミナワ へ? どこへですか? (シェイド 待テ貴様、犯罪ダゾ? 【団体さんの話】 (ミナワ えっ!? ご主人様、今何と仰いました!? (シェイド 「組織」モ「首塚」モ知ラントハメデタイ奴ダナ・・・ (裂邪 え? なになに? 俺そんな悪いことしたの? (ウィル 「組織」ってのは、都市伝説専門の警察みたいな感じだと思って下せえ。 (バク 「首塚」は平将門が率いている「組織」の敵対勢力のようなものだと聞いたバク。 (ミナワ この町では他にも「怪奇同盟」とか、かなり多くの団体があるんです。 (裂邪 へ~、結構あるんだな。 (裂邪 ・・・もしかして、俺の世界征服の夢って厳しいのか? (四天王 かなり。 【油断ならない話】 (裂邪 「一に褒められ二にふられ、三に惚れられ四に風邪」・・・って知ってるか? (ミナワ えっと・・・確か「くしゃみ」、でしたよね? (裂邪 あれって都市伝説か? (シェイド 原義上ハ、ソウナルダロウナ。 (裂邪 ふ~ん・・・・・・ (四天王 ドキッ! (ミナワ ご主人様、これ以上はホントにお体がもちませんよ!? (ウィル 正気になってくだせぇ旦那ぁ! (バク 少しは自分の事も考えるバク! (シェイド 今度コソ貴様ヲコノ手デ消スゾ!? (裂邪 な、何だよお前ら!? 【お化け屋敷 1】 (担任 ―――というわけで、このクラスの文化祭の出し物は「お化け屋敷」に決定しました。 (一同 イェ~イ! (担任 内容はどうするんだ? (男子A 人魂! (女子A 死神! (男子B 化け物! (担任 いやもっと現実的なものにしろよ; (裂邪 先生、今出た奴全部用意できますが? (男子C さっすが裂邪! (女子B 黄昏クンかっこいー! (担任 じゃあ頼むぞ黄昏。 (裂邪 ―――ということで、お前達に協力してもらうことになった。 (ウィル お安いご用でい! (獏 待てこらクソ主ィ! (シェイド オ前ニトッテ我々ハ何ナノダ!? (ミナワ 皆さん大変そうですね・・・; 【お化け屋敷 2】 ボッ・・・ (男子A うわ! 人魂!? コロシテヤル・・・ (女子A キャー! 死神!? グアォ~! (男子B うお! 象の化け物!? (男子A お前スゲェな! でもどっからあんなの持ってきたんだ? (裂邪 トップシークレットだ。 (獏 (あんのヤロォ・・・) (シェイド (イツカアイツヲコロシテヤル・・・) 残念な事に校長にボツられたそうな ...Fin 前ページ次ページ連載 - 夢幻泡影
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その5 白い粉の魔力 キーンコーンカーンコーン 授業後の学校 さて、と 俺は今男子トイレの個室にいる。 別にクソがしたいからトイレにいるわけではない。 この前俺は都市伝説「エロ本にバターを塗ると黒塗りが透ける」と契約を交わした。 せっかくお気に入りの1ページを犠牲にして手に入れた力だ、これを有効活用しない手は無い。 俺がいるのは男子トイレ。 つまり、女子トイレの隣というわけだ。 ふふふ...うふふふふ... さて、取り出したるはタッパーに入ったバター。 そしてこれをトイレの壁に塗っていくと...ほら、壁の向こうが透けて見えて...あれ? おっとしまった、うっかり壁を逆と勘違いしてしまったようだ。 逆隣の情報科一年の教室が見えてしまった。 きをとりなおして...おや? あれはたしか2学期から写真部に入ってきた新人君(暫定)じゃないか。 教室に一人きりでなにやらそわそわしているが。 そうか!こっそり教室でエロ本を読もうというのか!なかなか大胆だなぁ彼も。 向こうからこちらは見えないようになっているので気付かれはしない。 どれどれ、同志はどんなエロ本を読んでいるのかな? 鞄から取り出したのは…瓶...か? おいおい、なんだその白い粉は まさかお前… 「-----と、いうわけで、そのときは教室に人が入ってきたので実際に”使った”ところは見ていないわけだけど。」 「まさか、そんな、あの新人君が・・・」 背の小さい、けーちゃんと呼んでいる1年生の女の子が、信じられないといったように首を振った。 あの後、写真部の部室に行ってみたところ、部長、副部長、そして情報科1年生のけーちゃんがいたため、さっき見たことについて相談してみたわけだ。 「麻薬...か。確かに最近高校生にも広まりつつあるらしいからな。」 「でもあんな真面目な子が麻薬だなんて」 「真面目だからこそ、真面目でいる自分に嫌気が差したところに、未知への興味、他人の知らない自分、そんな誘惑に負けてしまった。なんてことはよく聞く話じゃないか。」 「そんな…」 「とにかく、新人君を何とかしてあげなくちゃ。出来れば警察に連絡せずにすむように。」 「麻薬がらみだぜ、連絡しないわけには行かないだろ。」 「でも、まだ”使った”ところを見てないわけだから。もしかしたらまだ一度も”使って”ないかもしれないじゃない。」 「そもそも、その白い粉が本当に麻薬か、という確証も無いわけだしな。まずは真相解明だろう。警察に連絡するのはそれからにしよう。」 「まずは問いただしてみますか?」 「いや、それではシラをきられるだろう。そこでけーちゃん。」 「は、はいっ?」 「ちょっとその瓶を盗んできてくれ、ちょうど同じクラスだろう。」 翌日 「うまくいきますかね」 「けーちゃんしだいだな」 「…なんで二人とも男子トイレにいるんだよ」 「だって心配だもん」 「面倒な役を押し付けた分、見守ってやるべきだろう。」 男子トイレの個室に、3人がぎゅうぎゅう詰めで入っている。 例の能力で壁を透過してある。 今、体育の授業で、教室には誰もいない。そこにけーちゃんが忍び込む。 ちなみに、授業どうしたとか気にしちゃいけない。 新人君の鞄を見つけ、そっとあけると。 中に、白い粉の入った瓶が一つ。 「!あった」 けーちゃんは瓶をポケットに入れ、教室を出ようとしたそのとき 「おい!何してるんだ!」 「まずい!新人君だ!」 体育の授業に出ているはずの新人君が教室に入ってきた。 怪我をしたのか、腕を押さえている。 「僕の鞄に何をしてるんだ!」 「単刀直入に言おう。君の鞄の中の白い粉の入った瓶について聞かせてもらおうか」 トイレから駆けつけた部長が問いただす。 一拍遅れて副部長とスケベが駆けつけ、新人君に迫る。 「なあ、俺達とお前の付き合いは短いけどよ、それでも同じ部員なんだ、正直に答えてくれ。」 「でないと、私達は警察に連絡しなくちゃいけないの」 「う…」 「お願い」 けーちゃんが新人君の手を握る 「本当のことを教えて」 沈黙の時間が過ぎ、彼は重い口を開いた。 「信じてもらえないかもしれませんが、聞いてくれますか?」 3人とも頷く。 「その...都市伝説って...信じますか?」 3人とも顔を見合わせ、なんともいえない表情をした。 「-----つまり、その瓶の中身は小麦粉ってわけか。」 「そうなんです」 彼のした本当の話、それは彼が都市伝説の契約者だということだった。 小学校まで関西に住んでいて、毎日お好み焼きやたこ焼きを食べて育った彼が契約していたのは「関西人の体の半分は小麦粉で出来ている」であった。 「例えば、さっき体育の授業で怪我しまして、それで教室に戻ってきたわけなんですけど、」 彼が腕を押さえていた手を離すと、傷口から血ではなく、白い粉、恐らく小麦粉が出ていた。 「こんなふうに体が小麦粉になっちゃったんです。」 そして瓶を手に取ると、中身を口の中に流し込んだ。 「ンンッ!...クゥッ!...フゥ。で、小麦粉を食べると傷が一瞬で治るんです。」 確かに、見る見るうちに傷口が塞がっていく。 「今軽くキマッてなかったか?」 「気のせいです。」 多少恍惚としながら答えるあたりなんか怪しいのだが、小麦粉だから大丈夫だろう。 「紛らわしいまねしてごめんなさい。でもこんなことが人に知れたらと思うと...」 「いや、私達も無理やりな手段に出て申し訳なかった。」 「疑って...ごめんね。」 けーちゃんが申し訳なさそうに頭を下げる。ちなみに彼女は入部の時点で部長からばれて都市伝説については知っている。 「まあ疑いも晴れたことだし、一件落着だな。」 「そうね。ところで新人君」 「何ですか?」 「これからはコナって呼んでいい?」 「ぇ、あぁ、いいですよ」 「では改めて、これからもよろしく、コナ」 「よろしくお願いします。」 コナは、3人と握手を交わした。 「ふぃー。これにて一件落着かぁー。」 大きく伸びをするスケベの肩に、ポンと手が乗る。 「ところでスケベ、そもそもなんで男子トイレで都市伝説なんか使おうとしたんだ?」 「え、それは」 「反対側は女子トイレだったな」 「え、へ、へぇーそーだったんだー」 「...うん、とりあえず、魂ぬいとこうか。」 カシャッ fin 「ところで、先日のスケベと今回のコナの件で発表しておきたいことがある。」 「何ですか部長いきなり。」 「これで、部員全員が都市伝説関係者、ということになった。」 「...まあ、気を使うことが無くなった、ということにしておきますか。」
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階段を駆け上がる 逃げている…訳ではない 誘い込んでいるのだ 「おらおらぁ!いつまで逃げてんだ!?」 ぞくり 背後から、迫ってくる気配 彼は、振り返ることなく、コーラのペットボトルの蓋を開けた ばしゃり、飛び出たコーラの液体は…背後から迫ってきていたコーラとぶつかりあった びしゃっ…!と、壁にコーラが飛び散る 「勿体ねぇなぁ。おら、さっさと飲みやがれ」 「うん。お断りかな」 にっこり、彼は笑って見せて…走る 向かうは、屋上 そこまで誘い込むのだ 「もう、面倒だぁ。人間相手は」 ぼそり、彼はそう呟く …組織より、始末を依頼された相手 それは、都市伝説と契約した、人間 それも…自分と、ある種近い都市伝説と 「コーラには、コカインが含まれている」 一時期、実しやかに囁かれた噂である 実際の所、昔は実際、そう言う事もあったらしいが、今現在のコーラにはそんな事実はない だが、未だにそれは都市伝説として囁かれているのだ 相手が契約している都市伝説は、それだ 彼を追いかけてくる男が持っているコーラの瓶 そこから溢れ出すコーラには、強い麻薬の成分が含まれている いや、正確に言えば、コーラを「麻薬」に変えてしまう力、と言うべきか あの男は、都市伝説と契約した事により、そんな力を手に入れた そして、麻薬と化したコーラを操り…他人に無理矢理、飲ませる そんな凶行を繰り返していたようだ 直接的な攻撃力はないかもしれないが、人間にとっては厄介な相手である …そして 彼にとっても、厄介な相手であった 自分と同じ、コーラを操る 相手のコーラは麻薬と化しているだけで、彼の操るコーラのような何でも溶かしかねないような攻撃力はない しかし…それでも 相手の能力は、非常に厄介なのだ …彼のコーラは、全てを溶かす 彼が望む物、全てを溶かす ……溶かす、はずなのだ だが、しかし それでも、致命的な、欠点があった …液体は、溶かせない 当たり前だ 元々液体な物を、溶かすことなどできるはずがない たとえ、彼が相手をコーラで溶かそうとしても…相手は、麻薬のコーラを操り、それを防ぐ 何とも、面倒な相手である だからこそ、こんな面倒な戦い方をしなければならなくなったのだ まったく、組織め 彼は、笑顔のまま小さく舌打ちした …あとで、組織の連絡係のあの黒服を弄って遊んでおこう、うん 「ひゃっはーーーぁ!待ちやがれぇ!!!」 迫り来る男 彼も、コーラの麻薬にやられているのだろうか 部分的に、言動がおかしい めんどくさいなぁ、と彼は思いながらも…走り続け ようやく、そこにたどり着いた 廃墟ビルの、屋上 夜空には、星が輝いて…は、いなかった どんよりの、曇り空 この真夜中でも、遠くのビル群にはちらほらと灯りが見える 「…どうせなら、こう言う景色は兄さんと見たかったなぁ」 ついでに、星空も見えていたら完璧だな、と妙な事を考える くるり 彼は、ようやく相手に振り返った ぼろぼろの、浮浪者風の外見の男 手に持ったコーラの瓶からは、際限なくコーラが溢れ続けている ぐい、と 男は、それを口に含んでいた あの、麻薬と化したコーラを飲み続けていたら…確実に、中毒者となっている事だろう うん、と彼は決めた あんな状態になっているのなら、殺してあげた方が親切だよね 何とも勝手かつ理不尽な思考回路にたどり着き、彼はにっこり、笑った 「へへ……っ、ようやく、観念したか」 「観念?」 何の事?と彼は笑ってみせる こぽ、こぽ、と コーラが溢れようとしているペットボトルの蓋を…閉めた 「なんだぁ?やっと観念したのか?」 「ううん、違うよ」 にこにこと、彼は笑う …相手は、わかっていないのだ ぴ、と指を立てて…兄が生徒相手に授業する時の癖を真似てみながら、説明してやる 「あのね、僕のコーラの能力はね…なんでも、溶かしちゃう事なんだよ」 「あぁ、知ってるさ。だから、俺ぁてめぇが散らかすコーラを一切、浴びちゃいねぇだろぉ?」 けらけらと、男は笑う うん、やっぱりわかってない …だから 彼は、とびきり残酷に笑いながら、続ける 「うん、そうだね。だから、僕のコーラは、このビルのあちらこちらにばら撒かれちゃったね」 「俺様のコーラもばら撒かれたがなぁ。飲み物を粗末にしちゃあいけねぇなぁ」 じり、と 男は、こちらに近づいてくる にこにこ、にこにこと…彼は、笑い続けた 「そう…このビルの中の、あちらこちら。全ての階の、壁に、床に、天井に…バラまかれたよね?」 …ぴたり 男が、足を、止めた ようやく、気付いたようだ にんまり、と 彼は、飛び切りの笑顔を相手に向けながら 死刑宣告を、告げた 「だから…今、この状態で。僕が、撒き散らしたコーラでビルを溶かしちゃったら…どうなるかなぁ?」 「………っ!!」 相手が、仕掛けてくるよりも…前に 彼は、それを実行した びしぃ……っ、と、男の足元に、一瞬で亀裂が入る そして…男の姿は、一瞬で、消えた 足場が崩れ、落ちる どこまでも、落ちていく 男が立っていた、場所 そこから下、全てが…コーラで溶かされ、消滅していた 男の体は、7階建てビルの屋上から…地下の駐車場スペースまで、まっさかさまに落ちていき ぐしゃり、潰れてしまった 「死んだかな?……死んだよね」 ちょこん、と あいた穴の傍にしゃがんで見下ろし、彼は首をかしげた うん、多分死んだだろう この高さから落ちて生きていたら、ビックリ人間だ まぁ、都市伝説との契約で、体が強化されている可能性も十二分にあるが… 「ま、いいか。多分死んでるだろうし。死んでなくても暫く動けないだろうし。万が一生きてたら、他の誰かが始末してくれるよね」 楽天的に、彼はそう考えた うん、きっと大丈夫だ 携帯が着信を告げたことを確認し、しゃがんだまま、彼は電話に出た 「はい…うん、始末したよ。多分、死んでるんじゃないかな………え、やだよ。ちゃんと死んだかどうか確認するの。だって、7階から地下1階まで落としたんだから。きっとぐちゃぐちゃのでろでろだよ。そんなの見たくないよ」 電話口から文句が聞こえてきたが、無視する 死体なんて、そっちが確認すればいいのだ 「それじゃあ、僕、兄さんが心配するからもう帰るね………え?ちゃんと心配してくれるよ?だって、兄さん、僕が居ないと朝食の準備する奴がいないから不便だって言ってくれたから」 そうだ 自分は、兄に必要とされているのだ 早く、帰らないと 彼は一方的に電話を切ると、兄の元に帰るべく、さっさと廃墟ビルを後にするのだった fin 前ページ連載 - とある組織の構成員の憂鬱
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合わせ鏡のアクマ 38 都市伝説4コマ風劇場 宴への招待 妹ちゃんの場合 「ふみゅう・・・そうですかぁ美味しいですか・・・・・・うふふ」 「えへへ・・・兄さんもっと撫でて・・・んむぅ?・・・」 「あ・・・・・・――ッ!?」ガバッ 「ま、将門貴様ァアアアアアアアアア!!」 精神年齢は圧倒的に妹の方が上なのに、甘えたがりなんですよね・・・ とりあえず兄と共に行くんでしょうね、料理持って。 妹「まぁ一応持っていきますよ、他の方がたくさん食べるかもしれませんから・・・」 * 主要三人 主人公「は?童貞かどうかって・・・・・・まぁ童貞なんだけどな」 姫さん「彼氏いない暦=年齢ですがなにか?」 妹ちゃん「兄さんといる方が楽しいので、異性との経験はあまり・・・」 『怪奇同盟』s 相対性理論「言わせたいのか?言わせたいのかゴハァ!?」 死の行軍「うるせぇんだよモヤシ!・・・あ?テメェ死にたいのか?」 ダルマ(契)「経験ぐらいあるわ、彼女もね」 ダルマ(都)「・・・・・・」コクコク 方位磁針「既婚者なのだが・・・」 けつばん「年齢的に僕はないはず・・・本当の作者に聞かないとはっきり分かんないけどね」 サンチアゴ「んー・・・今のところないです」 タイマー「そんな余裕なかったしな」 東の墓守「あるぞ・・・あの頃は若かったな・・・・・・」 南の墓守「先生は学生時代に経験があるそうです。私はもちろんありません」 盟主「覚えてません・・・たぶん、あると思いますが」 * <町内の復旧について> 南の墓守「三日目の朝には元通りですよ、家具から冷蔵庫の食べかけの料理まで」 東の墓守「元通りにする、という風に話を設定したから 後は組織に住人の記憶をいじってもらえば完璧だ」 南の墓守「先生の能力は本当にすごいんですよ!使ってると死にますけど」 東の墓守「条件さえ守れば万能なんだ。条件はかなり厳しいが」 * 都市伝説4コマ風劇場 宴への招待 主人公××の場合 「うわぁ!生首だ!!・・・って夢か」 「あれ、ザクロどしたの?」 「アクマ・・・け、契約者様が起きないのです!!」 『はぁ、兄さんがいくら揺すっても起きないと』 「そうなんだよ!まさかあの生首がなにか・・・」 『いえ、ただの深寝ですね』 「脈拍すごく遅いけど!?」 『よくあることです』 主人公の体質、疲労が溜まると夢も見ないほど深く眠ります。 この間、なにをやってもまず起きません。でも3時間くらいで普通の眠りに戻ります。 普通の人と違うのは、たとえ足の関節極められようと首を絞められようと起きないところ。(妹実践済み) * 都市伝説4コマ風劇場 宴への招待 姫さんの場合 「生首覚悟ォオオオオ!!・・・お?」 「なんだ夢かぁ・・・むぅ、リベンジのチャンスだったのに」※違う生首です 「ん、待って?宴ということは人が集まる・・・それもわんさか・・・・・・」 「強者の予感ッ!!」キュピーン どうも生首にとり憑かれた事件から、自分を強くすることに意識を向けた姫さん。 元々のう運動能力や体術・技術のスペックが高かったからか、 今では不良100人に負けることがないくらいの肉体的強さを持っています。 しかし精神面では?彼女もそこは理解して、これからも向き合っていくことでしょう。 というわけで、宴の騒ぎに乗じて姫さんは誰かにケンカ吹っかける可能性アリ。 * (わが町のハンバーグより) 都市伝説4コマ風劇場 「戻してこい。落とし主が困っているはずだ」 「でもふきっさらしの外に、放っておけないでしょう!?」 「・・・アクマー、なにがあったの?」 「あ、姫さんこんにちは」 「山で二宮金治郎像を拾ってきたんだって」 「・・・早く帰らせてあげればいいのに」 金さんは妹ちゃんが発見して預かってしまっていたようです。 前ページ次ページ連載 - 合わせ鏡のアクマ
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ビルの屋上に立ち、街を見下ろし 彼女は、口元に笑みを浮かべて両手を広げた まるで、タクトを手にした指揮者のように 「さぁさ、始めましょうか…」 さぁ、見ているがいい、H-No.360 我々の邪魔をした報いを受けるがいい 学園祭の準備で、どうしても帰りが遅くなってしまう やや早足で帰路についていた佳奈美 …しかし 目の前に現れたそれに、思わず足を止める 「え…な、何?」 それは、蛇 巨大な、蛇に見えた どれくらい巨大か? ……大口を開ければ、佳奈美などあっさり丸呑みにできそうなくらいの、大きさだ そして、蛇の種類に詳しい者が見たならば…その蛇が、恐ろしい毒を持っている種類の蛇である事が、わかっただろう 蛇は、その巨大な口を開き その口から覗く鋭い牙が、佳奈美に襲い掛かり………----- くんっ、と 佳奈美の体が、後方に引っ張られる その結果、蛇の牙は佳奈美の体に届かず …代わりに 蛇の、体に…黒い細い何かが、無数に絡み付いて 次の瞬間、蛇の巨体はバラバラに引き裂かれた 「ぁ……」 「佳奈美、無事かっ!?」 「ひ、宏也さん…」 佳奈美を救ったのは、黒服H-No.360…広瀬 宏也 佳奈美の体を片腕で抱きしめながら、宏也は自分がバラバラにした蛇の残骸を睨み付けた …復活してくる様子は、ない (…巨大化した生物…しかも、この蛇、確か…) …宏也自身は、直接見たのは今回が初めてだが だが……辰也から、話を聞いたことがある 確か、この都市伝説を使うのは…… …囲まれたか ヘンリエッタは、小さく舌打ちした まぁ、この程度、自分の相手になどならないが 「じゃが、数が多いのは面倒じゃのぅ…一般人が、通りかかるとも限らん」 自分を囲む、人間大の大きさの蛇の群れ その全てが、毒蛇だ だが、こんな巨大な毒蛇など、通常存在しているはずがない …都市伝説の、力 「……H-No.2か。何を考えておるか、動き出したか…」 ゆっくりと、蛇達はヘンリエッタを追い詰めるように、包囲網を縮めてくる ………ニヤリ ヘンリエッタは、その形の良い可愛らしい唇を、笑みの形に歪めた 「…じゃが……どちらにせよ、甘く見られたものよ。たとえこの時間帯とは言え、妾をこの程度で殺せるとでも?」 ざわり 殺意をまとう、ヘンリエッタ その気配に、蛇達は…まるで、自分達に睨まれた蛙のように、震え上がった 走る 走り続ける 逃げる 逃げ続ける 自分を追うそれから、春風 愛華は逃げ続けていた 巨大な、蛇 恐らくは、都市伝説の影響を受けている、それ 直接的な戦闘能力の低い自分では、それをどうにかすることができない こちらが先に気付いてさえいれば、歌い始めてしまえばいいだけだが……相手が先にこちらに気付き、襲い掛かってきたならば、歌っている暇などない 歌えなければ、彼女の都市伝説は発動できない だから、ただ逃げていた 自分を担当している黒服に連絡しようにも、相手はその隙さえ与えてはくれないのだ 彼女はただ、逃げることしかできない 「-----っ、あ……!」 …しかし とうとう、脚に限界が来た 足がもつれて、転びそうになる 一瞬、脚が止まり その隙を逃さぬように、蛇が彼女に飛び掛る 直撃は、避けた しかし、その牙は、愛華の肌をかすって 「……………ぇ」 その、瞬間 全身の力が、抜けた 思考が、薄まっていく 掠った傷口から、毒が入り込んだのだと、どこか他人事のように、理解して 薄れゆく意識の中、愛華が最後に見たものは 今度こそ愛華を飲み込もうと、蛇が大口を開けて迫ってきている姿だった to be … ? 前ページ次ページ連載 - 黒服Hと呪われた歌の契約者
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人肉料理店とその契約者 10 夕暮れ時の町を歩く三人の女性。そのうち若い二人は土埃にまみれていた。 「本日の特訓とゆー名の虐待終了っと……さっさと帰って風呂はいろ…」 「なーにが虐待ぢゃ?まだまだ無駄な動きが多いから余計疲れるんぢゃよ」 「ですが2対1でも敵わないとのは少々ショックでしたね」 年の功ぢゃよ、と答えながら歩く姿は、疲れ一つ見えない。二人を相手にして息も切らさなかったのだ。軽く化け物じみている。 「戦闘経験の差、ですか。殆どの攻撃をいなされましたからね」 「年の功で岩だの丸太だの投げてくんのかよ……あれ?あそこに居るのって……」 「どうしたんぢゃ?」 視界の隅に見覚えのあるヴェールがちらつく。 あれは確か、【爆発する携帯電話】の契約者と一騒ぎあった時に見た姿。 「やっぱあん時の司祭さんか。こんばんはー」 「……?ああ、あの時の。こんばんは。どうしました?そんな泥だらけで」 向こうもこちらに気付いたようだ。しかし流石に全身真っ黒なのを真っ先に聞かれた。 「あ、いやこれは…」 「どうぞお気になさらずに。ちょっとはしゃいでいただけですよ」 「はしゃぐ?」 「まぁ、うちのばーちゃんのちょっとは死に繋がるけどな……そーいえば携帯のにーちゃんは元気?」 あまり続けたい話題でもなかったので話しを逸らす。 だがその問いに驚いたような顔を見せる司祭。 「どしたの?なんかあった?」 「……いや失礼。彼も変わりありませんよ」 「そう?会う度に鼻血噴いてたからさ。ちょっと心配になってなー」 「彼は、あまり女性が得意ではありませんから」 「少年も同じ様なものですよね?」 「やかましいっ!」 オーナーの生乳見てぶっ倒れた事がある手前、下手に笑えない。 ……しかしあれはヤバイ。乳的にも出血的にもヤバイ。流石に心配にもなるというものだ。 「ところで、『携帯』のにーちゃん、と言いましたか……何処で彼の能力を?」 ほんの一瞬、二人に気取られない程度に目を細め、問う。 「あれ、聞いてない?コーク・ロアの契約者、一緒に倒したんだけど」 「…ああ、なるほど」 確かに、二人組の女性に助けられた、と言っていた。その答えに司祭の仮面を被り直す。 「あなた方の事でしたか。ご迷惑をおかけしました。私からもお礼を言わせてもらいますよ」 「いえ、ああいった者を止めるのが、この町に来た目的ですから。気にしないで下さい」 「そーいや、あん時居なかったみたいだし、携帯のにーちゃんと契約してるわけじゃないんだよね? 司祭さんはなんの都市伝説なの?」 「……!」 少年の問い掛けに、マリ・ヴェルテは考える。 …どうしてこの二人は、自分が都市伝説だと知っているのか? 【爆発する携帯電話】の契約者が喋った?……いや、多少面識がある相手とはいえ、彼が仲間の能力を簡単に話すわけがない。 それに、もし知っていればこんな世間話などしていないだろう。 何かしらの都市伝説、と気付いているが、自分が【マリヴェルテのヴェート】だとは気付いていない? ……恐らくは何らかの感知能力。それでどんな都市伝説なのか気になった、といったところか。 (面倒ですね…やりますか?しかし……) 完全に油断している今ならば、仕留めるのはたやすい。 ……だが、周りに人が多過ぎる。 「………」 「司祭さん?」 「何故、私が都市伝説だと?」 「へ?あの、それは……」 「私の都市伝説としての性質のようなものです。ある程度まで近付けば、相手が人か、それ以外なのか判るんですよ」 こちらの緊張が伝わったのか、オーナーが一歩前に出つつ答える。 「気に障ったのであれば謝罪します」 「そ、そうそう!別に無理に聞き出すつもりなんかないから!」 どうやら戦う必要はなさそうだ、とマリ・ヴェルテは思う。 今の姿は善良な司祭。絶好の隠れ蓑なのだ。一瞬で姿を変えられるとはいえ、目立つのはまずい。 なによりも教会から近すぎた。先程からちらほらと見知った礼拝者の顔も見える。 「そうでしたか。申し訳ありませんが、その事は「あたしは気になるねぇ?」……!?」 これ以上詮索される前に、さっさと会話を終わらせて立ち去ろう そう思い話し始めた時、それを阻む者が居た。 「ばーちゃん!?」「ひきこさん?」 マリ・ヴェルテの言葉を遮って放たれた声。 それを発したのは、今まで一言も喋っていなかった少年の祖母だった。 「ばーちゃん!いきなり何を」 「お前さん達はは少し黙っちょれ。今、あたしが話しとるのはこの男ぢゃよ」 そう言って少年を押し退けると、マリ・ヴェルテの二、三歩前で立ち止まる。 「どういった意味でしょう?」 「そのまんまの意味ぢゃよ。あんたが一体何の都市伝説なのか……教えてもらえないかねぇ?」 微笑んだまま、しかし明らかな敵意をもって相対する二人。 「……断る、と言った場合は?」 「さあ?どうなるのかねぇ……」 マリ・ヴェルテのヴェールが揺らめく。 ひきこさんが爪先で間合いを計る。 そしていきなりの急展開に完全に蚊帳の外な二人。 「これは……参りましたね?」 「参りましたね?じゃねーよ!ナニしてくれてんだあのババァ!? あれか?新手の都市伝説【KYババァ】か!?折角丸く治まりそうだったっつーのに!」 「元々好戦的な方だったのではないでしょうか?ひきこさんの挑発にもあっさり乗りましたし。 あと、もう少し落ち着いて下さい?」 「この状況で落ち着けるかっ!?っつか冷静に分析してんじゃねえ!?止めるぞ、あの二人!」 今にも激突しそうな自分の祖母と知り合いを前にして、どうにかして止めようとする少年。 それとは対象的になぜか動かないオーナー。 「いえ、止める必要はないと思いますよ?」 「はぁっ!?何言ってんだよ!早くしないと……!」 そのまま無言で司祭の後方を指し示すオーナー。吊られて少年もその方向に目をやる。 そこには小さな影が迫って来ていた。 「ここでやりますか?」 「いんや、ちょいと人が多いからのぅ。あんたがよけりゃ場所を移したいんぢゃが?」 睨み合ったままじりじりと移動する司祭と老婆。 「ええ、いいですよ。こちらとしても好都合です」 「ほんなら……………………………っ!」 いきなり動きを停めたひきこさんに怪訝な顔をするマリ・ヴェルテ。 …誘っているのかもしれないが、叩き潰してしまえば問題無い。そう思い直し、全身に力を込め――― 「あー!しさいさまだー!」「どこどこ?」 「ほんとだー♪」「あたち、キレイー?」 ―――襲い掛かろうとした所で、場の雰囲気をぶち壊す声が響いた。 僅かに覚えのある、舌足らずな喋り方におもわず足を停めるマリ・ヴェルテ。確かハロウィンの時、教会に来ていた子供達だ。 「しさいさまーごほんよんでー」「あーわたしにもー」 「えーあそびいこうよー」「これでもかー?」 割と予想外の事態に、どうするべきか考えていると、目の前の老婆がいきなり距離を詰めてきた。 「チッ!やる気「どれどれ、このババが絵本でも読んでやろうねぇ♪そっちの子は肩車でもするかの?あ、お嬢ちゃんべっこうアメ食べるかい?」 そのまま、すっ、と横を帰ってり過ぎ子供達へと向かう。その顔には、先程とは違う満面の笑みが浮かんでいた。 「………ちょっと待て」 「なんぢゃ?あんたまだおったんか。ほれ、帰っていいぞい」 「んなっ!?」 あっさりと言い放つ。もはや眼中にないらしい。ぷるぷると震える司祭を尻目に子供達へと向き直る。 「おばーちゃんだれー?」「えほんよんでくれるの?」 「ぐるぐるまー♪」「アメ、ウマー」 「ほっほっほっ、ババと一緒に遊ぼうねー♪」 そのまま子供達を連れて去っていくひきこさん。後に残されたのは呆然とするマリ・ヴェルテと、諦めた表情の身内二人。 「予想通りですね」 「なんか一人ヘンなの混じってなかったか?」 「ナメてんのかてめぇら!?」 「キャラが変わってますよ、司祭様?」 「お、落ち着いて?ばーちゃんの『アレ』はほぼ病気みたいなもんだから……オーナー!司祭さんと教会まで転移!!」 「承知しました」 「ってオイ!ちょっと待t」 なんか言ってた気もするが今は無視。それよりも優先すべき事がある。子供達の救出だ。 「……本読んだりお菓子やるくらいならまだいいよ? 『高い高い』とかいって10㍍もぶん投げられたり、肩車したままムーンサルト(三回転)やられた日にゃートラウマ確定だ……!」 幼少の頃に受けた数々の仕打ちが蘇る。本人は好意からやっているのだろうが、やられた方からすれば恐怖以外の何物でもない。 …しかし問題点はこちらの言うことを素直に聞いてくれるかどうか。祖母の子供好きは、ある意味本能レベルである。 最悪、力ずくで引きはがすしかない……可能かどうかは別として。 「やるしかねーか……」 オーナーが戻って来るのを待っている暇は無い。救助が遅くなる程、子供達の心に傷が刻まれる危険が増える。 溜息と共に歩き出す少年であったとさ。 終 前ページ次ページ連載 - 人肉料理店とその契約者
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さぁさ、思い出して御覧なさい 貴方たちは、どうして出会ったのか さぁさ、思い出して御覧なさい 貴方たちは、どうして共に在る事を選んだのか さぁさ、思い出して御覧なさい 貴方たちは、だぁれ? Red Cape あぁ、もう イライラする、イライラする、イライラする!! 少女は苛立ちを隠すことをなく、ずんずんと歩いていた 子供用のブランド物の服に身を包み、しかし、その服とはどこかアンバランスな、赤い靴を履いた少女 ずんずん、ずんずん あぁ、もう、イライラする!! どうして、自分は勝てないのだろう どうして、いつも負けてしまうのだろう 今まで、そんな事はなかった てる相手にだけ、勝負を挑むようにしてきたはずだった 今はまだ、レベルアップの最中なのだから 格下の相手だけと戦い、経験を積む最中 …そのはず、だったのに いつからか、自分たちは負け続けている …あの、赤マントと赤いはんてんに負けてから、ずっと…… 「あまり苛立つと体によくないぞ?」 「うっさいわね!」 あぁ、もう、誰のせいだと思っているのだ、このロリコンショタコン変態どマゾ!! 自分と契約している都市伝説に、心の中でありったけの罵倒をぶつける 直接、口には出してやらない そうしたら、喜びやがるから、このどマゾは …とにかく、自分たちよりも、弱い相手を探そう そして、そいつらと戦い、強くなるのだ この辺りで、一度、それを何とかしなければ …だからこそ、この暗くなってきた時間帯、迎えの車も呼ばずに外を歩いているのだ そうじゃなければ、こんな時間に外を出歩くものか ずんずん、ずんずん、ずんずんずん 歩き、歩き続けていると 「……いるぞ」 「えぇ」 わかる 赤い靴が感じとったのならば、それは自分にもわかる 一体どう言う能力なのかよくわからないが、この赤い靴は他の都市伝説の気配を感じ取りやすい 噂に聞く、赤い目をした女性ほど高度な感知能力ではないものの、微弱ながらも都市伝説の気配を感じ取れる、と言う能力は有利である だからこそ、今まで順調に弱い都市伝説と戦い、強くなってきたのだから …ひたひたと 背後から、誰かが近づいてきている 狙いは……自分か 子供狙いの都市伝説か? (…まぁ、何だっていいわ) さぁ、かかってこい 返り討ちにしてやる……! ずんずんずん 少女は、振り返る事なく歩き続ける 気付いていないふりをして 徐々に、徐々に 気配は、近づいてきて…… ………刹那 感じ取る殺意 何かが……自分の、肩の付け根辺りを狙って、向かってくる 「っ!!」 っば!と 少女は身を翻し、その攻撃をかわした 一瞬前まで少女がいたそこを、鋭い刃物が通り過ぎた 東南系の顔立ちをした男が、舌打ちする 「ちょっと!避けられてんじゃないわよ!」 いらだったように、その男に声をかける、女の声 男の後方に、ジャラジャラとした装飾品に身を包んだ、けばけばしい化粧と服装の女が立っていた 俗に言う、お水系と言うかそんな感じの服装だ 「何よ、おばさん。いたいけな小学生襲うなんて、犯罪なんじゃない?」 …うん、弱そうだ 少女は、そう判断した 逃げるのではなく、戦おうと決める 少女のおばさん発言に、ピキ、と女は怒りを隠そうとしない 「きぃいいいい!!ちょっと、こんな生意気なガキ、さっさと片付けちゃいなさいよ!」 「ワカッタ」 片言の日本語で、男は答えた 手に持つ獲物はナイフ それで、少女に襲い掛かる! 「赤い靴履いてた女の子 異人さんに連れていかれちゃった」 慌てずに、少女は歌う その男に対抗するために 己が契約する都市伝説を呼び出す歌を 己が契約する都市伝説の力を、解放する歌を 「!?」 が!と 具現化した赤い靴が、目にも止まらぬスピードで襲い掛かってきていた男の攻撃を受け止めた ぐぐぐぐ……と、力で相手を押さえ込む 「……っち、相手はババアか」 「だからって、ヤル気なくさないでよ」 赤い靴が本領を発揮できるのは、幼女相手のみ(ただし、ある意味暴走確立もあがる) だが…純粋な腕力とて、充分、人間離れしているのである この程度の相手を押さえつけるくらいは、簡単だ 「キサマ……っ!?」 「『手首ごと盗んでいく泥棒』みたいだな。肩ごとバックを奪うつもりだったのか」 赤い靴が呟いた言葉に、少女はなるほど、と思った 自分が肩から下げる、この鞄 これを狙った訳か 『手首ごと盗んでいく泥棒』 東南アジアだかのどこぞの国で、手首を切って、手首ごと高級時計を盗んでいく泥棒の話がある アメリカでも、手首を切ってそれごと指輪を盗むマフィアの話があったような …その能力の応用で、肩ごとバックを盗むつもりだったのだろう ……まぁ、気配を察知された時点で、既に落第だが 「なぁに?オバサン、このバックが欲しいわけ?」 ひらひらと、少女はバックを相手の女に見せびらかすようにして見せた 女は、怒りを隠そうともせずに睨みつけてくる 「そうよ、そんな高級ブランドバック、がきんちょには勿体無いわ!」 「っは!この程度の物も手に入れる事ができない貧乏人の、負け犬の遠吠えね」 ふふん、と鼻で笑ってみせる ますます、女は激昂したようだった 赤く靴に押さえ込まれている手首泥棒に怒鳴る 「ちょっと!さっさとそんな奴、やっつけちゃいなさいよ!」 「無駄よ。赤い靴は、一応仮にも時として、結構強いんだから」 すたすたと 少女は、女に近寄っていく 恐れなど、ない 相手は、自分たちよりも格下だ 恐れを抱く必要などない そんなもの、抱いてしまったら…その時点で、負けだ すたすたと、少女は赤い靴と手首泥棒の横を通り抜け、女に近づいてく 手首泥棒は少女を止めようとするが…赤い靴に押さえ込まれ、それを実行できない 「…糞餓鬼が!舐めるんじゃないわよ!」 すらり 女は持っていたブランドバック(もっとも、少女が遠目から見てもわかるようなニセブランド物だが)からナイフを取り出した ……しかし 「遅いのよ」 「-------!?」 次の瞬間には 少女が、そのナイフを蹴り上げていた ぽ~ん、と宙に放り出されたナイフ カランっ!と落ちて音を立てる 「な…」 「あたしが契約したのは、『赤い靴』。その主な能力は、相手をどこかに連れ去る事」 でもね、と 少女は、意地悪く意地悪く……笑って見せた 「それだけじゃあないのよっ!!」 っが!!と 少女の蹴りが、女の脇腹に命中した みし、と嫌な音が響く 「---っが!?」 予想外の衝撃に、女は倒れこんだ …馬鹿な!? こんな、小学校低学年にしか見えない餓鬼の……どこに、こんな力が…!? 「もう一つ、単純で……でも、とっても便利な力」 にやぁり、少女は笑って とんとん、っと履いている赤い靴で、アルファルトを叩く 「あたしも、赤い靴の力を使えるって事、わかるぅ?」 そう、それはとっても単純で 漫画やらライトノベルやらでよくありそうな、陳腐な力 「あたしの今の身体能力は、『赤い靴』と同等なのよ。わかるぅ?頭悪そうなオバサン」 「………!!??」 …そう 外見は、少女そのもののまま しかし、その身体能力は …そこで、手首泥棒を押さえつけている『赤い靴』の身体能力、そのもの その、身体能力から繰り出す攻撃を ただの人間に過ぎない女が、受け止めきれるものか? 「じゃあねぇ。ばいばい」 っが!!と 少女は、倒れこんだ女に容赦なく蹴りを繰り出す がぼ、と口から胃液を吐き出す女 少女は、何度も何度も、蹴りを入れて 「お~い、もう終わったぞ」 「……あら、そう?」 と、契約主が気絶したために、力を失った手首泥棒を倒した赤い靴に声をかけられるまで その攻撃を、止めようとはしなかったのだった 「…あぁ、すっきりした」 ぐぐぅ、と車の後部座席で背伸びする少女 運動して疲れたので、家に迎えの車を用意させた そこで、のんびりと体を休める 赤い靴も、傍にいるが…運転手には、見えていない (そうよ、やっぱり、私たちはやればできるんだわ) このところの連敗で、自信を失いかけていた …しかし 自分たちだって、やればできるのだ 他の都市伝説に、負けてばかりではない 自分たちは、こんなにも強いではないか!! (赤い靴、あたしはこのゲーム、まだ降りないわよ) 「わかってる。まぁ、素敵な幼女にめぐり合えるチャンスがある限り、付き合うさ」 めぐり合えても、想いが通じる事は絶対無い 心の中でそう思いつつも、とりあえず突っ込む事はせず 少女は、後部座席に身を沈めたまま、静かに眠りについたのだった 「……ヤレヤレ」 眠ってしまった己の契約者の姿に、赤い靴は小さくため息をついた 眠っている様子は、可愛げがあるのだが 普段のあのワガママ態度ときたら 普段の生活を見るに、親も周囲も甘やかし放題、あの恵まれきった環境では仕方ないかもしれないが… 「ま、ゲームから降りる気が起きるまで、こっちは付き合うまでか」 契約者を護る それが、ロリであればなおさらのこと いつか、この契約者は成長し、ロリではなくなるだろうが、まぁ仕方ない ババアに興味はないが…ババアがいないと、新たなロリが生まれないのだから 赤い靴は、もふもふと、眠っている己の契約者の頭を、静かに撫でてやったのだった それがどんな出会いだったか 貴方は覚えていますか? それがどんな出会いだったか 私は、覚えています 貴方にとっては、覚えておくに越したことないであったとしても それは、私にとっては宝石のような輝きを持っていたのです Red Cape 前ページ連載 - 赤い靴